働くことや学ぶことを見つめ直してみませんか? #jawsdays #jd2019_i #jawsug
はじめに
この記事は 2019年2月23日に五反田TOCで開催されたJAWS DAYS 2019 のセッションの1つでお話しした内容を、
・セッションに参加できなかったみなさまにも内容をお伝えする一つの手段として
・セッション参加していただいた方が後日改めて内容を振り返ることができるように
・私自身の説明がわかりにくかった部分もあったと反省する点があったのでその部分を補足させていただくために
当日使用したスライドに沿ってお伝えさせていただきたかったことをまとめたものです。
当日使用したスライドはこちらです。
https://www.slideshare.net/mobile/ayumitada126/190223-jawsdays2019-ayumitada
- はじめに
- 1.セッションの進め方
- 2.自己紹介
- 3.なぜこのJAWS DAYSで「働くことや学ぶことを見つめ直す」セッションをやるのか
- 4."Stop thinking" or "Stop to think"
- 5.なぜ人は働くのか?
- 6.VUCAの時代
- 7.VUCAの時代に成長している企業の一つであるAmazonのOLP(行動指針)
- 8.強い人(個)=主体的に動いて状況を動かす人になるためには?
- 9.強い個になるための4つのキーワードの状態を整える準備
- 10.さて、いよいよワークショップにうつるために、ここまでのまとめを簡単に行いたいと思います。
- 11.ワークショップ
- 12.最後に
- 13.参考文献
1.セッションの進め方
前半でワークショップに向けた導入説明をおこない、後半部分でワークショップを個人ワークとして行いました。
JAWS DAYSのセッション枠は50分と限りがあるため、あくまでもこのセッションとしては、「働くことや学ぶことを見つめ直す」必要性や見つめ直し方、考え方をお伝えし、皆様が考えるきっかけ作りをするというレベルに留まってしまう可能性が高いことをお伝えさせていただきました。
2.自己紹介
ここで簡単に私の自己紹介をしたいと思います。
私は100年に1度の大変革期を迎えていると言われる、自動車業界の社内IT部門(いわゆる情シス)に大学卒業後から約12年間仕事をしてきました。
そして、本業とは別に自分自身の生涯学習として「”人”について学び、研究を進めていきたい」という思いから「国家資格キャリアコンサルタント」の資格を取得し、日々学び続けながら、個人活動を行い、本業でもうまくこの知識を活用しています。
日経xTechでもキャリアに関する連載をさせていただいておりましたので、ぜひ皆様お時間ある時にでもご覧ください。
本日のセッションでは、ITを生業として企業人として働く私とキャリアコンサルタントとして個人活動を行っている私という2つの側面からの学びをみなさまにお伝えしたいと思います。
3.なぜこのJAWS DAYSで「働くことや学ぶことを見つめ直す」セッションをやるのか
なぜ、AWSのユーザーグループでAWSに関する技術の話ではなく、「働き方」や「学び方」といったテーマを取り上げるのか?と思う方もいるでしょう。
私が今回、このタイトルで、そしてAWSのユーザーグループでこの内容で登壇したいと考えた理由は、AWSをつかう利用者という立場の一人として、
「AWSさん、、、どんどん新しいサービス出し過ぎですぜ。。素晴らしすぎるけど、もう私、ついていける気がしない。。。(涙)」
と自分の理解力のなさや、知識のアップデートをはかることの難しさに直面し、この変化に追従しきれないことへの焦りや不安を感じることがあったことが背景にあります。
つまり、AWSが作り出しているとも言える、激しい変化/進化のなかで、自分自身の限界を感じたり、将来への不安を抱えたり、なんとかしないといけないと焦っている人は自分以外にもいるのではないか?と考えたことが始まりです。
4."Stop thinking" or "Stop to think"
みなさま突然ですが、この2つの英語の意味わかりますか?
Stop thinking は、考えるのをやめる、禁考
Stop to think は、考えるために立ち止まる
という意味です。
みなさまは日々慌ただしい毎日を送っていると思います。
そんななかで、何かを立ち止まって考える時間って以外と取れないなと感じている方もいると思います。
特に、不安と向き合ったり、絶対的な答えや正解のない自分自身の未来についてじっくりと考える時間の確保というのは、後回しにされやすく、「どうにかなるだろう」、「流れに身を任せておこう」、という形で Stop thinking の状態でやり過ごしてしまっているかたも多いと思います。
本日は少しだけ、 Stop to think ということで、考えるために立ち止まっていただくことの大切さを感じていただき、わずかな時間ではありますが、みなさまと一緒に働くことや学ぶことについてを見直していきたいと思います。
5.なぜ人は働くのか?
人はなぜ働くのでしょうか?
働くことにより得られる「報酬」を受けるため
ということが考えられます。
ここでは、仕事をすることで得られる「報酬」について考えてみたいとおもいます。
あなたにとっての仕事の報酬とはなんですか?
私にとっての仕事の報酬は◯◯である。
この◯◯に当てはまる言葉を考えてみてください。
さて、あなたはどんな言葉をあてはめましたか?
a. 仕事の報酬は給料である
こう考える方も多いのではないでしょうか? 誰にとっても最初に見えてくるのは、この世界です。
b. 仕事の報酬は地位である
a. の給料をあげるためや、やはり自分が周囲に認められた成果の証としての地位にこだわる方もいるかもしれません。
しかし、仕事に真剣に取り組めば、取り組むほど、このaやbの世界では物足りなく感じてくる人がほとんどでしょう。その時に次に見えてくる世界が
c. 仕事の報酬は能力である
という世界です。
これは仕事を進めていくなかで、少しずつスキルやノウハウ(=能力)が磨かれ、できなかったことができるようになるという体験が面白さや楽しさに繋がっていく世界です。
能力が高まるにつれて、周囲からその能力を認められ、大きな仕事を任させられることもあるでしょう。それがそのまま「自分の能力が社内でどれほど必要とされたか、役に立ったのか」というかたちで、実績・業績に繋がっていくのです。
すると、次に見えてくる世界が
d. 仕事の報酬は仕事である
という世界です。
つまり、仕事のスキルやノウハウを磨いていくと、自分のやってみたい仕事ができるようになってきます。これは自分の能力そしてその能力を生かした実績・業績により、社内(会社、チームメンバーなど)の賛同を得られやすくなり、そして顧客もそれを採用してくれるという状態です。
この状態はまさに、「やってみたい仕事」や「やりたい仕事」というものが単に自分で満足を得るための仕事ではなく、賛同をしてくれた自分の会社やメンバー、そして顧客にとっても大きな意義のある仕事ととらえてもらえている状況と言えます。
つまり、仕事の報酬は「やりがいのある仕事」と言えるのではないでしょうか。
しかし、さらにこの状況で頑張り続けていると見えて来る世界があります。
それが
e. 仕事の報酬は成長である
という世界です。
ひとりの職業人としての成長だけでなく、ひとりの人間として成長していくことができる。そして、その成長を実感し、成長の喜びを味わうことができる状態です。
上記のa〜dの成長は失われる可能性があります。というのも、
「a. 給料」は使ってしまえば失われてしまいます。
「b. 地位」も退いてしまえば失われてしまうものです。
「c. 能力」も時とともに腕が落ちることもあるでしょうし、新しい技術の出現によって陳腐化してしまうこともあるでしょう。
「d.仕事」も現実社会での仕事である限り、様々な困難や障害に突き当たることで、必ずしも継続したり、成し遂げられるとは限りません。
しかし、「e. 成長」だけは決して失われることのない報酬なのです。
人はいつまでも成長し続けることができる生き物です。年齢は関係ありません。
だからこそ、私たちは働いていく上で「人間としての成長」という報酬を見失わないようにしていく必要があります。
つまり、働く上で、また何かを学ぶ上で、私たちは「成長」というキーワードを大事にしていく必要があるのです。
「成長」という重要キーワードについては本日のこの後のワークショップで深掘りをしていきたいと思います。
6.VUCAの時代
次は冒頭で説明いたしましたこのセッションテーマとなった理由の一つである、この変化の激しい時代を一言で表す言葉である、VUCA (ブーカ) そしてVUCAの時代に成長している会社で働く人に求められている行動指針について触れていきたいと思います。
VUCAは以下の言葉の頭文字をとったものです。
- Volatility:変動性・不安定さ
- Uncertainly:不確実性・不確かさ
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性・不明確さ
7.VUCAの時代に成長している企業の一つであるAmazonのOLP(行動指針)
AmazonのOLPを知っていますか?
OLPとは Our Leadership Principles の略で、Amazonという企業自身、そしてそこで働く人々が大事にしている信条であり行動指針です。
Leaderという言葉を聞くと、なにかのポジションにつき、マネージメントする立場の人にしか関係のないことだと感じる方もいるかもしれませんが、Amazonが定義しているリーダーというのは「主体的に動いて状況を動かす人」という意味で使われており、社員一人ひとり、全員がリーダーであることを求められているのです。
つまり、Amazonの事業の一つであるAWSの各種サービスも、このOLPを実践している人々(=主体的に動いて状況を動かす人)によってつくられています。
AmazonはVUCAの時代を作り出す側でもあり、時代を変革させる力をもつサービスを作り出してるわけですが、つまりそれは、Amazonで働く人が主体的に状況を動かしているからこそであり、働く人、その人自身も変化する時代に適応していくことができ、そしてさらに時代を変革させることができているとも言えるのです。
Amazonは、強い「人(個)」(=主体的に動いて状況を動かす人)が強い「仕事」をして、強い「組織」そして強い「製品・サービス」をつくるということを実証しているとも言えます。
8.強い人(個)=主体的に動いて状況を動かす人になるためには?
では、働く上で、「主体的に動いて状況を動かす人」になるためにはどうしたらよいでしょうか?
主体的に動く ということと 状況を動かす という2つに分けて考えてみたいと思います。
主体的に動く
まず、主体的に動くとはどういうことなのかを考えるときに、重要なキーワードが3つあります。
自立・自律・自導
です。
この3つは状態を表すとともに、成長に関する側面を表しています。
- 自立:みずから「立たせる」こと ⇔ 反意語 :依存
技術・能力・経済力・身体 といった外的な要素としての独り立ち - 自律:みずから「方向付ける」こと ⇔反意語 : 他律
価値観・信条・理念・哲学 といった内的な要素としての独り立ち
「律」となる理念・信条・価値観を醸成し、それをもとに自分でぶれない判断・行動をする - 自導:みずからを「導く」こと ⇔ 反意語 : 漂流
セルフリーダーシップであり、自らを目標や理想に導く
主体的に動くというのは、この3つの状態が揃ったときに生まれるのです。
この3つの状態をそろえるということをなにかに例えるならば、「航海」がぴったりだとおもいます。
自立するとは航海に耐えうる船をつくることです。
自律的であるとは羅針盤をもつことです。
自導的であるとは地図に目的地を描いて、最終的な到達点、目標を定めることです。
状況を動かす
状況を動かすというのはどういうことでしょうか?
状況を動かすためには、行動(action)を起こす必要があります。
航海に例えるならば、まさに「実際に航海に出る」ということになります。
前述した「主体的に動く」ための3つの状態をつくるのは、この行動を起こす上の事前準備ともいえるのです。
つまり、航海にたとえるならば、船、羅針盤、地図を準備してから、いよいよ実際の航海(=行動)に出るということです。
行動を取る中で、知見を得て見えてくる世界が変化してくることもあるでしょう。それにより、自分が準備してきたものの中には見直す必要も出てくるかもしれません。
従って、あまり慎重になりすぎて事前準備(どんな船がいいのか、羅針盤はこれでいいのか、目的地はここでいいのか)に必死になっていつまでも行動にたどり着けない(航海に出ない)状態は望ましくなく、ある程度の準備ができたら、まずは行動を起こしていく(航海に出る)というのが望ましい姿だと思います。
ここまでのまとめです。
・自立、自律、自導、行動の4つが重要キーワード。この状態を整える。
・人生という長い航海のなかで、主体的に状況を動かすことができるようになる。
・つまり、自分を変化する環境に適応させて、そして自分自身が環境を変える力にもなることができる。
9.強い個になるための4つのキーワードの状態を整える準備
前述した4つ状態を整えるためにはキャリア・アンカーと呼ばれるものを知るところから始まります。
キャリア・アンカーはアメリカの組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念です。
キャリア・アンカーは個人がキャリアを選択していく上での根源であり、自分の中で最も重要度の高い価値観や要求ともいえるものです。
キャリアアンカーは一度形成されると周囲の環境や年齢が変化しても代わりにくいと言われており、生涯にわたってその人のキャリアを決定づける重要なファクターだとされています。
先ほどから航海をたとえに用いてきていますが、まさに、航海ではアンカー(Anker)=錨がなければ、船はどこにもとどまることができず、耐えず流されていってしまいます。
ここで、キャリア・アンカーを知るための3つの問いをご紹介します。
自分になにができるのか
変わることのない自分の基本的な志向は何か
自分にとって価値のあることは何か
従って、まずはこの問いからスタートしていきましょう。
10.さて、いよいよワークショップにうつるために、ここまでのまとめを簡単に行いたいと思います。
成長:働く上で、また何かを学ぶ上で大事にしてほしいキーワード
成長という報酬だけは、決して失われることのない報酬です。だからこそ、私たちは働いていく上で「人間としての成長」という報酬を見失わないようにしていく必要があります。
VUCAの時代の中では主体的に動いて状況を動かす人になることが大事。
・キャリア・アンカーを見つける(碇をもつ:生涯追求していく自分の才能・能力と動機・欲求そして価値を見極める)
・自立する(航海に耐えうる船をつくる:能力・経済力・体力)
・自律的になる(羅針盤をもつ:どんな状況でも律となる理念・信条・価値観を醸成しそれをもとにぶれない判断・行動をする)
・自導的になる(目的地を描いた地図をもつ:自らを目標や理想に導く)
・行動を起こす(航海を開始する)
11.ワークショップ
ここまでは、働くことや学ぶことを見つめ直すうえでの重要キーワードおよび大事にしたい考え方を説明してきましたが、それを自分のものにしていくためのワークショップを行いたいと思います。
(JAWS DAYSのセッション時間には限りがあり、私の導入説明に想定より時間がかかってしまったため、本当にわずかな時間しかとれず、一部のワークショップしかできませんでした。従いまして、深掘りしきれなかった方々がほとんどだと思います。申し訳ありませんでした。あくまでもセッションは、皆様が働くことや学ぶことを見つめ直すきっかけ作りをするというレベルであったことをご了承いただければと思います。)
ワークショップその1
<1.自分の成長を実感する>
・自分は何ができるのか
・何をしてきたのか
を考え、成長できたと思える過去の幾つかの出来事(エピソード)を2−3つほど書き出してみてください。
できれば、ある程度、異なる期間から1つずつ選んでみてください。
<2.自分にとってその成長にはどんな意味があったのか?>
・自分が大切にしてきたものはなんなのか(興味、関心、価値観、気づきなど)
・自分にとって成長とはどういうものなのか(なにか成長を感じた時の共通点はあるのか)
を書きだしてみてください。
どうでしょうか?すこし、過去を振りかえったことで、何か気づきはあったでしょうか?
「自分にとっての成長」そして「自分にとっての大切なもの」を見つけることはできたでしょうか?
上記の問いの内容は、友人や同僚など身近な人と共有し、語り合うというのも効果的です。
というのも、個人ワークとしてひとり机に向かって「書き出す」という「文字として、視覚的に認識」するだけでなく、語り合うことで「話す」という行為を通じて「言葉を発することにより、聴覚的に認識」することで自分自身の思いがクリアになってくることがあるからです。
また、それを聞いた相手からのフィードバックにより、さらに深い気づきに繋がることもあるでしょう。
自分にとっての「成長」が定義でき、「自分にとっての大切なもの=(キャリア・アンカー)」を知ることは、次に向かいたい「主体的に動いて状況を動かす人」になるための礎となります。
さらに問いは続きます。
<3.自分のテーマを見つける>
・過去の自分を振り返って得られた情報から、あなたには何ができるでしょうか?
・何を追求しつづけていくと成長を継続することができますか?
<4.ビジョンを見つける>
・テーマを追求して、到達したい未来はどんな未来ですか?
・あなたは何をやりたいのでしょうか?
・人生をどのようなものにしていきたいのでしょうか?
この問いを通して、今の自分にとって「自立する」「自律的になる」「自導的になる」とはどういう状態を表すのか、どうなれば「主体的に動いて状況を変える人」になったと言えるのかを探っていくことができます。
12.最後に
わざわざ会場に足を運んでいただき、セッションを聴講いただきました皆様、ほんとうにありがとうございました。
また、セッションは聴講できなかったけど、このブログを読んでくださったという方も、ありがとうございました。
いままで様々なイベントで講演をしていますが、今回のようなキャリアに対する考え方やキャリア形成を支援することを目的とした講演をした経験はなく、実は私にとっては「キャリアコンサルタントとしての初講演」とも言えるものであり、1つの大きなチャレンジでした。
せっかくのJAWSのイベントなので、うまいこと、AWSに関する知識を取得すること(学ぶこと)とか、AWSを仕事で利用するなかで、働くことについて、こういう意識が変わってきたとか、なんかそういうのを参加者のみなさまで共有できる方向に持って行きたいなぁという構想も練っていたのですが、私の力量が不足と、限られた時間ないという制約もあり、結局うまくこのセッション内に混ぜ込む形にできず、少しありきたりな形のキャリアコンサルタントらしい見つめ直しアプローチなってしまいました。申し訳ありません。
また、本セッション内容は、参考にした文献(具体的には以下、参考文献に記載)や、過去に自分が受けた研修などをベースにして、わたしなりに体型立ててたものです。
従いまして、説明の仕方や内容にはまだまだ改良の余地のあるのは間違いなく、今回の経験を生かし反省を行うとともに、内省も進めていきたいと思います。
今後も引き続きキャリアコンサルタントとして、よりレベルの高いキャリア形成支援ができるように私自身も成長をしていきたいと思います
今回の内容がわずかでも皆様のお役に立てたなら幸いです。
13.参考文献